広報2月号 地域おこし協力隊トークセッション企画

おおたまいどばた会議 with 地域おこし協力隊

「新人地域おこし協力隊、村の先輩に聞いてみた!」 担当:遠藤愛佳

広報の紙面に載せきることができなかった部分を含めた拡大版!
トークセッション中の空気感や、お人柄がより伝わる内容になっています。全5回、異なる空気感を感じていただき、楽しんでいただけたら幸いです。

● 対談者


国分恵子さん(写真中央)
・福島市松川出身
・直売所歴15年

渡辺麗子さん(写真左)
・郡山市出身
・直売所歴9年

蓬田景子さん(写真右)
・本宮市出身
・直売所歴9年


● 簡単な内容

大玉村の看板と言っても過言ではないほどの存在感を誇るあだたらの里直売所が、最初は広場にテントを張って野菜を売るところから始まったことをご存じでしょうか?
村内の農家さんが作った農作物を村内で売るという大きなシステムを担う直売所。その直売所を支える3人の販売スタッフに直売所の歩みと未来の直売所のお話を伺いました。
また、今回は3人別々にお話を伺ったので、1人ずつとのお話をまとめた形式になっています。

 あだたらの里直売所
あだたらの里直売所を経営するおおたま村づくり株式会社は住民出資によって設立されたまさに地域が作った場です。
設立時に行った村民説明会の後、一口3万円の出資枠350株があっという間に完売したそう。それほどの強い村民の思いから設立したおおたま村づくり株式会社とあだたらの里直売所は、買い物だけではなく、村のこどもたちの地域参加や大玉村の情報発信という大きな役割も担っています。


● 目次

with国分恵子さん

with蓬田景子さん

with渡辺麗子さん


with国分恵子さん

―15年前の直売所ー

遠藤:国分さんが直売所の従業員として関わり始めたのは、何年前からですか?

国分さん:平成21(2009)年からだから、従業員として働いて今年で15年目。今の直売所の建物ができる前、今のたまちゃん食堂の建物が直売所として使われていた時から。野菜の販売と、土日は食堂で。その時、食堂の人気メニューはけんちんもち、あんこもち、いなりもちで、すごく人気だった印象がある。

遠藤:15年、長いですね。そして元々たまちゃん食堂の建物は直売所の役割を果たしていたんですね?!

国分さん:元は広場にテントを張って片づけてを繰り返す仮設的な場所で生産者たちが販売をしていたんだけど、それをずっと続けるのはねってなって、前の直売所(現在のたまちゃん食堂)の建物が建てられたって聞いたよ。
今の直売所の建物は5年目くらいで、そのタイミングで食堂として活用されるようになって。



遠藤:そういう流れがあったんですね、全然知らなかったです!
15年前に直売所で働き始めることになったきっかけは何だったんですか?

国分さん:前に勤めていた職場でお客さんと話していて、その話の流れで「今度直売所のスタッフ募集があるからどう?」って紹介されて、申し込んで面接を受けてそれがきっかけ。

遠藤:村の人との話の流れから直売所で働くことになったんですね。すごい偶然のきっかけで。
偶然の会話からの流れで働き始めて、今もここでの会話を大事にしていて、国分さんはとてもコミュニケーションを大切にされているんですね。

国分さん:そうそう。採用面接のときに「お客さんも大事だけど、生産者さんにもちょっと寄り添えたらいいな」って言った記憶があるんだけど、それが私の目標で。何となく実現されているんじゃないかなと思う。

遠藤:直売所はたくさんの生産者さんとの関わり合いがあることが特徴的ですもんね。国分さんはまさに実現されていると思います。
生産者さんってどのくらい人数いらっしゃるんですか?

国分さん:登録者数は300人超えてる。今は高齢で引退した人もいるけど。

遠藤:そんなにも多くの生産者さんが関わっているんですね。
その方たちと会話をしながら、日々関係を築いていっているんですね。

国分さん:古くからの付き合いの人が多いけど、新しく始めた若い人もいるね。親子で農業やっている人もいて、若い人だと30代とか。
そうやってどんどん若い人が(農業に)入ってくれると安心なんだけど、やっぱりそれには(農業の)魅力を伝えていかないといけないね。

遠藤:直売所は生産者さんとの距離を近くに感じられる場所でもあると思うので、魅力を伝える役割も担っていると感じます。
先ほど入荷に来た生産者さんが「スタッフが定着していて気心知れているからいいね」とおっしゃってましたね。
皆さんが良い距離感を築いていることが伝わってきました。



―直売所の変化―


遠藤:国分さんは15年働いていて、直売所の初期から今までの変遷を見てきたと思いますが、どんな変化がありましたか?


国分さん:震災、矢吹店長の着任、株式会社化、地元野菜を使ったお食事処たまちゃんのオープン、コロナ、大きな変化があったね。
13年前の震災があって、茨城県の茨城町や美浦村と災害協定を組んで、そこに生産者さんと一緒に売りに行っていたの。
そこでは、自分のものは自分で売るという形だったから生産者さんも自分の野菜に自信がつき、前向きに参加してくれていたね。その時も生産者さんには大変お世話になっていました。

遠藤:震災の後から始まった場があったんですね。

国分さん:あとは、前はよく生産者がイベントをやったりした。お正月は餅つきをやったり。
しめ縄作りに、包丁研ぎに。でも段々やらなくなったなあ。昔からやってたものは高齢化でやれる人がいなくなってきて。



遠藤:高齢化・・・考えていかなければならない課題ですね。
あとはここ数年コロナ禍で人が集まれないという状況があって、前にやっていたイベントや風習がなくなっていったという話は村内の他の場所でもちらほら聞こえてきます。
知識と技術を持っている人が元気なうちにどうにか引き継ぎたいものですよね。
次の世代に上手く引き継いでいけるかどうかが、村の今後の活気にも関わってきますね。

国分さん:昔から続いているものは残していきたいよね。
震災やコロナの流行がきっかけで無くなってしまった事もあるけど、矢吹店長と村の若い人たちの発想と行動力で、新しいスタイルで続けられている事もあるから、やっぱり若い人の発想ってすごいなあと思う。
最近は矢吹店長と協力隊の小川くんがポン菓子を復活させていたり。

遠藤:残し方を模索しつつも、今大切にしていることは風化させていかないように、残すもの、新しくするもの、見極めが重要になりますね。
そのために必要なことの第一は会話ですかね?

国分さん:そうだね。会話は大事にしている。
普段の身近な話で言うと、例えばお店が混んでない時は「この野菜で何を作るんですか?」ってお客さんに話しかけたら、「面白いから買ってみたけどどう食べたらいいですか」って質問が返って来たり、それでおすすめを教えて会話が生まれる。
お客さんが「このほうれん草おいしかったよ」とか「このカブ甘かった」とか教えてくれるから、より自信をもって他のお客さんにもお勧めできる。

遠藤:いつも来てるお客さんからのお墨付きとなると、間違いないですね。
物事の大小関係なく、日々の会話から「いい関係性をつくる」ことが「いいお店をつくる」ことに直結しているような感じですね。

国分さん:店長だけでもスタッフだけでもダメだし、生産者さんや大事なお客様がいて、そうやって丸くなって上手く(直売所が)回ってるんだなって思うよ。
(従業員同士で)お互いの性格と得意なことも分かってるし。

遠藤:そうやって分かりあって言える環境づくりがされてる所が、この直売所のいい所ですね。従業員同士の関係性の基盤ができていて、そこから+αとして、生産者さんともお客さんとも関係性を築ける。
やはり直売所は会話、人との関わり合いを大切にしていかなければならない場所ですね。

国分さん:お互いに名前とかどこに住んでるかとか知らなくても、顔を知っててここ(直売所)で少し会話をするってだけでお互いにちょうどいい関係を築けてるかな。
でもやっぱり、矢吹店長が着任してから幅広いかかわりが増えたね。村の幼稚園生、小中高生、大学生も、若い生産者さんも。店長の働きかけがあってこそだと思うんだ。
そして若い人の発想と行動力はすごいなあと思うし、大切にしていきたいね。




with蓬田景子さん

―大玉村の内と外―

遠藤:蓬田さんは、直売所で働き始めて何年目ですか?

蓬田さん:8年目、今年で9年目かな。

遠藤:8~9年だと、まだ食堂の建物が直売所だった時からですね。

蓬田さん:そうだね、あっちの建物と今の新しい建物と半分半分くらい。

遠藤:働き始めたきっかけは何だったんですか?
出身は大玉村だったんでしたっけ?

蓬田さん:出身は大玉村じゃなくて隣の本宮市で、今も本宮に住んでる。



遠藤:そうだったんですね。そしたら何か村との関わりを持っていたとかですか?

蓬田さん:村との関わりは全然なくて、ちょうど仕事を探すときに村の直売所でスタッフの募集があるみたいだよって村の人から教えてもらって。
紹介と面接を経て、そこからずっとここで働いているっていう流れかな。

遠藤:てっきり、直売所で働いてる方たちは大玉村との関わりが元々強くて、直売所との関わりもあってそれがきっかけで働き始めるものだと勝手に思ってました。

蓬田さん:私は紹介がきっかけだったかな。

遠藤:大玉村で働くようになって変化とか、違いを感じることはありましたか?
でも、本宮とは隣同士だから、そこまで変わりはないんですかね?

蓬田さん:あんまりないかな。
大玉村は優しい人が多いから、長く働きやすいと思うよ。

遠藤:働きやすさを作るのは人が要因であることが多いですよね。
隣同士の本宮と大玉村、どちらも知っている蓬田さんから見て、何か違いを感じる部分はありますか?

蓬田さん:村と市の違い・・・どっちも中身は同じだと思うんだけど、少し雰囲気が違う感じはある。
けど生活も食べ物も違いは特にないし、そうは変わらないと思う。
でも大玉村は人口が増えてるもんね。

遠藤:たしかに市と村とでは一見違いが大きそうですけど、学校があって買い物する場所があって人が多く住んでいるとか、共通する部分は多いですね。
県外からの移住者目線は耳にしますけど、隣の市町村と大玉村を両方知る人からの意見ってあまり聞く機会がないので、面白いです。



―直売所だからこそー

遠藤:地元と隣の大玉村の直売所で働いて9年、一般的な系列のスーパーと直売所とでは違いがあると思うんですが、直売所ならではの良さ、大変さがあれば教えてください。

蓬田さん:
やっぱり生産者と直接会話ができるっているのがいいよね、調理の仕方とか直接聞けるから。
お客さんにも野菜の調理方法を聞かれるから、説明できるようにしておかないといけない環境で。生産者本人に直接聞くのが一番手っ取り早いよね。

遠藤:その野菜の良さを一番知っているのは生産者自身ですもんね。
季節によって野菜の品ぞろえが変わるから、覚えるのが大変そうですね。

蓬田さん:そうなの、だからその都度教えてもらってる。
覚えるのが大変なのもあるんだけど、旬のものだと同じ野菜の入荷量が多いから、残ってダメになるものも出てきたり。
ちょっと悪くなったものは赤線引いて半額にしたり、本当にダメになっちゃったものは後ろに下げたり。
でも生産者はそれで生計立ててるから思うものはあるよね。

遠藤:そういう対応もあるんですね。
生産者を知ってるからこそ、距離感が近いからこその課題もあるんですね。良くも悪くも働きますね。
それぞれを知っていればその人に合う対応ができるけど、知ってるからこそ優しさが出てくると判断に迷う時もありそうな・・・。

蓬田さん:そう、だから仕事だって割り切ってやるしかないって思ってる。



遠藤:割り切ることと平等さも必要になってきますね。
距離感が近いって、スムーズに業務出来るようになる良さばっかりかと思っていたので悪くも働くということに驚きました。

話は変わりますが・・・今日は朝から直売所にお邪魔してますが、時間帯によって客層が変わりますね。
午後になるとママ世代が多いような。朝はどちらかというと年齢層が高いような。

蓬田さん:そうなの、午後になると段々ママ世代が増えてくるね。

遠藤:平日の一日で時間帯によってお店の雰囲気が変わるのが面白いですね。
平日と土日でもまた違いますか?

蓬田さん:やっぱり土日は混むね。倍くらい違うと思う。

遠藤:倍ってすごいですね。土日は村外からのお客さんが増えるってことなんですかね。
直売所前の広場では大きなイベントの開催も多いと思いますが、イベントをやっている時は客数とか客層は変わりますか?

蓬田さん:入ってくる人は増えるかな。買わなくても見に来てくれるお客さんもいるし、それはいいきっかけになるよね。
安かったからまた今度来てみようとか。
そうなってくれたらシメシメだよ。
店内に生産者の写真がずらっとあるじゃない、こういうのもインパクトがあるのかな。まあよそでもこういう風に飾ってある場所はあるだろうけど、お客さんに「これ何人いるの?」とか聞かれたりもする。

遠藤:私も最初来た時、店内の地元感が強くてアットホームだなって感じました。
生産者さんが身につけている赤エプロンも良いですよね。生産者さんの見わけもしやすいし、赤エプロンの方を見かけると、この方々が大玉村の農業を支えているんだなと考えるきっかけにもなってます。
曜日やイベントの影響があって、あとは天気でも影響受けるって以前生産者さんにお話を聞きました。

蓬田さん:天気でも変わるね。雪かきが必要なくらいの雪の時でも来てくれるお客さんはいるから。少なくなるけど。

遠藤:大雪の時でもお店は開けないといけないですもんね。

蓬田さん:でもやっぱり大雪の日は野菜の入荷も少なくなるから。
スーパー感覚で「ここに来ればこの野菜があるだろう」って来てくれるお客さんもいるんだけど、天候によっては並んでない時もあるから、「なんだわざわざ来たのに」ってなっちゃうこともある。

遠藤:スーパーよりも生産者次第な要素が強いからこそ起こることですね。店側と生産者側との信頼関係、店側とお客さん側との信頼関係が必要になりますね。
販売スタッフの対応の深さというか、仕事内容を見ても信頼関係の面を見ても、新しい人が入ってもすぐ務まる仕事とは言い難いですね。

蓬田さん:覚えるまでが大変かも。やっぱり最初は大変だった。
でもお客さんも常連さんも多くいるし。覚えちゃったら楽しいよ。
お客さんも優しい人が多いから仲良くなったり。
名札とかレシートを見て名前覚えてくれて、次来た時にいきなり「蓬田さん」って名前で呼んでくれたり、距離感が近いなと思いながら。楽しいよね、人と交流しながら出来るから。

遠藤:直売所はそういう面も役割として大きいですよね。地域の中で自分のコミュニティ以外の人と話す機会って減少している現代だと思うので、人と話せる場所として直売所は大切ですね。

蓬田さん:生産者の中でも、うちの親と同じくらいの世代の人で今は一人暮らしって人もいるんだけど、お医者さんに「ボケ防止で1日何人以上と喋るように」って言われたらしくて。
朝ちょっと喋るだけで、その中の一人になれるじゃない?そういうのがわかったら、積極的にお話ししようかなとも思うし。

遠藤:人と話すって欠かせない大事なことですもんね。

蓬田さん:大事。学ぶこともたくさんある。

遠藤:国分さんと蓬田さんのお話を聞いて、直売所での会話って一方通行ではなくて、お互いに必要だと思ってお互いが大事にしているから、双方向に有益なものになっているんだなと感じました。
生産者と販売スタッフ、お客さんと販売スタッフ、直売所の従業員同士でもそれが成り立っていますね。




with渡辺麗子さん

―9年前のきっかけから―

遠藤:麗子さんは出身はどちらですか?

渡辺さん:出身は郡山で、大玉村に住んでいるのは夫が大玉村出身だから。
専門学校の進学で18歳の時に上京したんだけど、東京で出会って結婚して25歳くらいの時に福島県に戻ってきたって感じ。

遠藤:ご夫婦2人とも、上京後に福島県にUターンされたんですね。
麗子さんは郡山出身で18歳の時に上京したということは、元々大玉村には馴染みはなかったですか?

渡辺さん:ないです。高校の時大玉村を知らなかったもん。
大玉村の友達もいなかったし、本宮から先は知らなかった。母の実家もどっちかっていうと須賀川寄りの方だからこっちの方までは知らなかった。

遠藤:南寄りの方が馴染みがあったんですね。郡山だったら本宮までの範囲内で普段の生活に必要なものが揃っていますもんね。実際、私の大学の同級生に郡山出身の子が2人いたのですが、大玉村のことはあまり知らないようでした。
最初大玉村に来た時、どう思いました?

渡辺さん:田舎だなあーって思った。
でも、4号線に近くてプラントに近い地区だとすごく便利。それこそ妊娠中はプラントの中を1時間くらいぐるぐるして、いい運動になってた。

遠藤:東京と福島、郡山と大玉村では景色も環境も人も全く違いますもんね。時間の流れが全く違うと私自身も実感してます。
Uターンしてきて、直売所で働き始めたきっかけは何だったんですか?

渡辺さん:今直売所で働き始めて9年目になるんだけど、こどもがある程度大きくなったら働きに出るって決めていて、ちょうどそのタイミングで直売所のスタッフの欠員と募集が出たからどう?って話が来て。
紹介とタイミングが合って働くことになったのが始まりです。



遠藤:国分さん、蓬田さんにもお話を伺って、3人とも紹介がきっかけということなんですね。
直売所の販売スタッフに合っていそうという事で周りの方も薦めたんじゃないかと、納得です。直売所のスタッフは会話も業務も求められる要素が多いから、たしかに紹介の方が少数精鋭で上手くいく感じがします。
9年目ということは、食堂の建物の時からですね。
何か変化はありましたか?

渡辺さん:忙しくなったね、そこが変わったと思います。
店長が一生懸命宣伝しているおかげで沢山お客さんも来て、すごく注目されているという気はするかな。

遠藤:注目度が上がるにつれて実感もあるんですね。

渡辺さん:お客さんからも「新聞見て来ました」って話しかけてくれる人とか、「新聞の写真に写ってるジャンバー見て直売所を思い出して来たの」って言ってくれる人もいた。

遠藤:そういうのをきっかけに新しいお客さんが増えたり、新たな交流が生まれたりするんですね。

渡辺さん:新しく来てくれる人も多いし、でも昔から来てくれてる人がだいぶ多いですね。
「こんにちは」って挨拶できる人が大半かな。
私の身内と仲がいい人もいて話しかけてくれる。昔からの仲みたいで。

遠藤:いい意味で狭くて深いというか、村の良さですね。

渡辺さん:そうそう、そういうのは都会では知りえないことだし、郡山もあんまりそういうのもなかったから、家族3世代が同居してるとかいう状況も郡山だとそんなにないし、

遠藤:この土地に根付いている世帯が多いっていうのは、今の時代村から一歩外を出るとあまり見ない光景でもありますよね。
私自身も都会で核家族の家庭で両親の実家がどちらも遠い家庭で育ったので、村の家族のあり方は、新鮮です。





―これからの直売所―

遠藤:直売所のこれからの姿を考えた時、規模が大きくなったり形が変わることに対してどう考えますか?

渡辺さん:そうだね、もっと多くのお客さんに来てもらうようにするには、変化していくことが大事だと思う。
今あるお客さんを大事にしながら、新しいお客さんを増やして売上を上げることが必要だからね。上手くバランスがとれるようなやり方ができればいいなとは思いますけど。

遠藤:規模が大きくなると当然スタッフも多く必要になって、人数が増えるとそれだけで今の良い距離感に変化は出てきそうですね。そうなると今まで通りにはいかないですよね。

渡辺さん:いかないね。直売所ならではの「人のつながり」は残していきたいと思っています。



遠藤:村ならではの会話の気軽さとか地元の顔見知りという位置づけは無くなってほしくないですね。
それが無いと、直売所の良さも減ってしまうような気もします。
直売所に限らず、村の外を知る麗子さんからみて大玉村はどうですか?

渡辺さん:大玉村は楽しい、色んな人がいるから。皆優しいし、笑いが絶えなくて。じいちゃんばあちゃんから元気をいただいてます。

遠藤:みんな元気ですよね。パワフルな人が多いです。

渡辺さん:若い人たちの方が元気さで負けてるんじゃないかってくらい。
でも、大玉村って小さい頃から村のことを頻繁に教わるじゃない?村探検とか村での体験とか。
大玉の良さを小さい頃からよく知ってるから、地元への愛情が強くなるんだと思う。

遠藤:愛が強いですね。

渡辺さん:大玉愛が強いね。自分が生まれたところをそうやって好きでいられるってことは良いことだよね。
それこそ夫も結婚して大玉村に帰りたいって言ってたのは、そういう事なのかなあ。

遠藤:外に出て他と比較したうえで帰りたい場所だっていうのは、まさに地元愛ですね。

渡辺さん:私の周りのママ友さんも、大玉出身で、結婚後に大玉で家を建ててる人もよく聞くし、みんな大玉が好きなんだなって思います。
地元愛が強いなっていうのはすごく感じる。
今の子ども達が大きくなってそうやって戻ってきてくれると地元としては嬉しいよね。

遠藤:これからを担うこども達がそう思ってくれているっていうだけでも、今のおおたまの良さが伝わってきますね。嬉しいことですよね。
今は人口減少がない珍しい村で子供が増えてますけど、今後はどうなるかわからないですからね。保っていきたいですよね。

渡辺さん:今の子ども達がみんな外に出て行ってしまったら、どんどん過疎化が進んでしまうから、大玉のいい所を知っていってもらうしかないのかな。

遠藤:私も村のことを知る=村への思いが強まることだと思います。
直売所は大玉村の入り口として大事な役割を担っていますね。




―対談を終えて―

4号線に面しているという立地面でも、その存在感においても『大玉村の入り口』であるあだたらの里直売所。

少数精鋭のスタッフで気心知れた人、見慣れた人が常にいるという環境は、「ただ買い物をするだけの場ではない」要素を作っています。

私は昨年四月に大玉村に移住してきて初めの頃、「よそもの」だからと村の人に受け入れてもらえなかったらどうしようと考えていましたが、直売所の皆さんとお話ししてその不安が少しずつ消えていったことを覚えていま
す。

村人との関わりが深く村のコミュニティの1つだけれど、誰に対しても開いている決して閉鎖的ではないこの直売所は、有難い場所だと移住者の私自身感じています。

そして「大玉村の印象を決める大きなキースポット」的役割を果たす直売所において”会話を大事にする”ということが、とても大切な意味を持つのです。この先も残してほしい大切なものです。





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