広報10月号 地域おこし協力隊トークセッション企画
おおたまいどばた会議 with 地域おこし協力隊
「大玉村が映し出す姿」 担当:小川
広報の紙面に載せきることができなかった部分を含めた拡大版!
よりテーマを掘り下げた内容となっています。
全5回を通して移住者を中心に自身の活動や大玉村について対談していきます。その中で大玉村ってこんな一面があったのか、こんな活動や面白いことがあるのか、新しい発見をみなさんにお届け出来れば幸いです。
● 対談者
高橋時美さん/OONAGURA100レースディレクター
・1992年山形県生まれ
・2018年大玉村に移住
・2021年OONAGURA100を初主催し、今年は三回目を実施
● 簡単な内容
大玉村が一望できる大名倉山でトレイルランニングを楽しみ、トレイルランニングの面白さを広めるとともに大玉村の恵まれた環境を多くの人に知ってもらうため、3年前からOONAGURA100主催する高橋時美さん。
トレイルランニングとは何か、山を走る醍醐味、身近な環境で最大限の挑戦をする想いや展望について話しています。
”チャレンジ”がキーワードになっています。みなさんの中で最近”チャレンジ”したことはなんですか?また何かチャレンジしたいなと思ってもらえればと思います。
● 目次
- 大玉村に来てみての印象
- トレイルランニングを始めたきっかけ
- ロードランニングとトレイルランニング
- OONAGURA100を始めたきっかけ
- トレイルランニングで生まれる輪
- OONAGURA100のコンセプト
- これからのOONAGURA100
- 大玉村を走ること、大名倉山・安達太良山
- トレイルランニングは地域振興につながる
- 走ることの楽しさ
- 対談を終えて
―大玉村に来てみての印象―
小川:まず出身はどちらですか?
髙橋:山形県最上郡真室川町です。山形県の県北で、秋田県と県境の町です。
小川:いつまで住んでいましたか?
髙橋さん:18歳までです。その後に自衛隊入隊して、研修期間が終わった後に福島駐屯地に配属されたんです。それから現在も福島駐屯地に勤務しています。
小川:大玉村に住み始めたのはいつからですか?
高橋さん:5年前です。妻の実家が近いのとお互いの職場の中間地点が大玉村だったんです。
小川:大玉村は福島市にも郡山市にも行きやすいですよね。
高橋さん:大玉村は住みやすいというお話を聞いてました。子供を育てやすい環境だと思います。
小川:異動は今後ないんですか?
高橋さん:今の勤務地に10年以上勤務しているので、数年後に転勤があると思います。ただ、気に入っているので定住しようかなと考えています。
小川:気に入ってる点っていうのはどういった点ですか?
高橋さん:程よい田舎といったところでしょうか。郡山市にもアクセスもいいですし。自分の趣味でいえば、山とかも近くてトレイルランニングができる。スキーをするのも趣味なので、それができる環境が近くにもあるのもいいですね。
小川:お子さんもいらっしゃいますよね。
高橋さん:今3歳の娘が1人で、今年の12月に2人目が生まれるんです。保育園が無料であったり、子育てがしやすい環境なのでとてもいい。
小川:保育園無料なのは大きいですよね。
高橋さん:若い世代が移り住みたくなる理由もわかります。家もたくさん建ってますし、アパートもたくさんあります。需要がありますよね。
―トレイルランニングを始めたきっかけ―
小川:高橋さんは大玉村でトレイルランニングの大会を開催していますが、そもそもトレイルランニングを始めたきっかけはなんだったんですか?
高橋さん:仕事でスキーの訓練を行うんですけど、そのスキーを教える人で憧れみたいな人がいて、その方にトレイルランニングを勧めてもらったんです。
スキーのトレーニングにもなるからやってみたらって、それがきっかけなんです。
小川:スキーがきっかけというのは面白いですね。
高橋さん:そのスキーが上手くなりたくてそのトレーニングで山を走るっていうのから始まって、元々走る習慣はあったのですっと入ってきました。
今はもうスキーを超えるぐらいトレイルランニングが好きですね。
―ロードランニングとトレイルランニング―
小川:私は学生の頃、陸上部で長距離をやっていたので、よく外を走っていました。外を走っていると、この道ってここにつながっているんだとか、ここの銭湯が壊されちゃうんだとか、風景が変化していく中で走るのが好きでした。
そういう街の中で走る楽しみは知っているんですけど、トレイルランニングとの違いはありますか?
高橋さん:そうですね。まずトレイルランニングは走り続けることって無理なんです。
上りはよっぽど走力がある人、体力がある人は走り続けるかもしれないんですけど、自分のような市民ランナーは上りは歩くことも多いです。
また、スキーをするので下るときの爽快感がとても好きなんです。それはどうしてもロードの街中とかでは体験できない。自分はトレイルランニングのほうがロードランニングよりあってるし、好きなんです。
小川:スピードの変化はトレイルランニングは大きそうですね。
高橋さん:山の中で20キロ走るのとロードで20km走るのでは同じ20キロでも時間が違いますね。
そうなると自分との対話というかいろんなことを考えていると時間もあっという間に過ぎて、悩んでいたことも忘れるみたいなことが結構あるんです。
―OONAGURA100を始めたきっかけー
小川:毎年6月に大名倉山でトレイルランニングの大会であるOONAGURA100を開催していますよね。
高橋さん:OONAGURA100は今年で三回目を迎えました。二日間に渡り、100キロのレースと100マイル(約160キロ)のレースを行っています。
小川:OONAGURA100を始めたきっかけはどうだったのでしょうか?
高橋さん:大玉村は安達太良山が美しく望める村です。
天気がよければ安達太良山がトレーニングにいいですけど、どうしても天気が悪い時が多いのと冬場であったり、雪解けする5月末ぐらいまではどうしても雪が残ったりしてなかなかトレーニングしづらい。
年間を通してトレーニングしやすい里山を求めていた時に大名倉山がトレーニングに適していることに気が付いたんです。
それで大名倉山の練習コースを自分で作って、トレーニングをしていました。
そしたらコロナ禍になり、トレイルランニングの大会も軒並み中止になりました。
そこで、世の中的に流行りだしたのが自分でコースを作って、そのコースを何キロ走れるかを挑戦する動きが始まりました。
今実行委員をやっている方と大会がないから自分らで大会をやってみようということでOONAGURA100は始まったんです。
そして、OONAGURA100を始めれたのも環境が整っているというのが大きかったです。さっと登れる大名倉山があって、コースが作りやすく管理しやすいこと。駐車場や、トイレであったり、食事をできるサービスエリアが近くにある環境があります。
―トレイルランニングで生まれる輪ー
小川:実際に今年の大会を見に行って、感じたのは仲の良さでした。もうすでにコミュニティが形成されているのだなと。
高橋さん:そうですね。トレイルランニングを始めた頃だいたい今から9年ぐらい前から福島トレイルランニングクラブに、所属させてもらってるんですけど、そこで輪が広がっています。
大会に出た時に同じクラブで親交を深めたり、クラブでイベントや飲み会をやってくれるのでそれに参加して知り合ったりしています。
小川:そういったところでトレイルランニングの仲間ができるのはいいですね。
高橋さん:コロナ禍になってこうやってみたいんですけど、相談したところやってみようよってなって始まったのがOONAGURA100です。
現在OONAGURA100は5,6人ぐらいの実行委員で開催しています。
基本的にセルフマネジメントして走りましょうっていうのが、コンセプトなんですけど、大会を取り仕切る実行委員も必要だろうということで協力してもらっています。
小川:走ってる方々もとても楽しそうでした。あまり速度が速くない分、走ってる時にも会話が生まれたりもするのですか?
高橋さん:トレイルランニングの特徴としてはトップ選手とかも言うんですけど、トップ選手同士で会話ができるというのが一番の特徴だと思うんです。
100kmや100マイルだと1日中走ってるような状況です。それをやってると自然と一体感が生まれる。やっぱきついですし、大会出てる以上順位とか、争ってるような感じではあるんですけども、どっちかといえば一緒に目標に向かって進んでる仲間みたいな感覚が生まれる。
小川:仲間意識をとても感じました。魅力的な特徴ですね。
―OONAGURA100のコンセプト―
高橋さん:OONAGURA100を始めた1つのコンセプトに「身近な環境で最大限の挑戦を」という言葉があります。どうしても大会に出るのはお金もかかったり、時間もそれに向けて費やさなきゃいけなません。近場で大会とかもやってはいるんですけど、100キロ100マイルの大会は福島県の近県であるわけではないです。
自分も再来週に群馬で100キロ超えのレースに出ます。お金もかかるし、時間もかかります。
まして自分みたいに子供が小さくて、子育てをしながらやってるっていう人に身近な環境で最大限のチャレンジをしてほしい。
普段やってる環境、身近な環境で大きい大会に負けないぐらいのチャレンジをしてほしいというコンセプトになっています。
小川:福島県内でトレイルランニングに興味を持ったけど一歩踏み出せない、そんな人に挑戦してもらえたらということですね。
高橋さん:そうですね。100キロを超えるレースだと遠くて行けないなと諦めている人に挑戦してほしいです。
―これからのOONAGURA100ー
小川:これまで3回大会を行っていますが、高橋さんは運営側で支えていますよね。
高橋さん:そうですね。来年は選手として参加しようかなと思っています。
小川:いよいよ出られるんですね。
高橋さん:100マイルを自分はまだ完走したことないんです。一番最初は自分の大会で完走できたらいいなと。その目標があるのと、既に3回開催しているので、そろそろ主催者自身が完走をしなければいけないなと思うんです。
主催する形もできてきましたし、自分が少し抜けても他でカバーできるようになりました。
小川:これからOONAGURA100では短いコースも作られるときいたのですが?
高橋さん:そうですね。50キロも始めようかと考えています。そんなに長い距離が走ったことない人も入門的なコースも必要だと思います。
また1日で終わるのも、50キロのメリットです。100キロ、100マイルだと次の日にまたいでしまう。なかなか敷居が高いと思う人向けになります。
小川:長距離をやってたとはいえ、いきなり100キロ走ろうとは想像がつきませんが、歩いたり休みながら50キロならまだできるかもと可能性が出てきますね。
高橋さん:トレイルランニングの普及につながればと思っています。
―大玉村を走ること、大名倉山・安達太良山ー
小川:私も大名倉山は好きで登るんですけど、四季が楽しめる。季節によって景色が変わるのが好きなんです。
高橋さん:眺めもいいですよね。
大名倉山の山頂からは安達太良山がきれいに見えるので、これからは紅葉でだんだん色がついてきたなとか、冬は雪が積もり始めたなとか。
田植えの時期、そこから見える景色は特別だと思うんです。
小川:雪が降った時、大名倉山に登ってみたんです。そしたら大玉村の雪景色が一望できて綺麗だったんです。雪山って素人だと基本登れないんじゃないですか。でも大名倉山くらいなら登れました。
高橋さん:トレイルランニングの装備で雪の大名倉山でトレーニングはしてましたね。
小川:安達太良山も走ったりしますよね?
高橋さん:奥岳から登って猪苗代側に1回降りて、また上がってくるコースでトレーニングしたりします。純粋に登って降りてくるだけであれば10キロぐらいです。
小川:それくらいなんですね。安達太良山と大名倉山で走っていて違いを感じますか?
高橋さん:安達太良山は火山なので、非日常的で火星に来たかのように楽しめるのが特徴です。大名倉山は手軽に登れて眺めが見えるというのが一番ですね。
小川:安達太良山はあんまり遠くの景色を楽しむっていう感じではないですよね。
高橋さん:そうですね。火口の景色がいい。
小川:土の色がどんどん変わったりするのもいいですね。
―トレイルランニングは地域振興につながる―
小川:大会では県内の人と県外の人の割合はどれくらいですか?
高橋さん:だいたい県内の人が6割、県外の人が4割です。
大会で初めて大名倉山に登った人やそもそも初めて大玉村に来た人もいます。
大会をきっかけに少しでも練習とかで来てもらえると嬉しい。大玉村に来ればやっぱり立ち寄ったりとかして地域活性化につながればと思っています。
小川:できれば大玉村の人にもトレイルランニングの魅力を知ってほしいですよね。
高橋さん:大玉村の人に大名倉山でトレイルランニングの大会をやっていること、トレイルランニングそのものが広まってくれると嬉しいです。
小川:トレイルランニングのことは最近耳にする機会が多くなってきました。知り合いからやテレビで聞くようになって、流行ってきているのを感じています。また、新潟県の地域おこし協力隊が古道を開拓して、大会を開いている事例などもあります。地域を知ってもらうためのコンテンツとしても魅力的ですよね。
高橋さん:OONAGURA100は長い距離をやっているので、とてもコアな部分を感じるかもしれないです。「何やってんの」って聞かれて、「走る大会やるんです。100kmです。」とか言われても、「は?」ってなると思うんですよ。でもトレイルランニングは長い距離だけじゃない。
大名倉山も駐車場から山頂に行って、帰ってくると3,4キロですが、それもトレイルランニングです。そういう簡単なところから始めるのも立派なトレイルランナーです。
誰しも長い距離を目指せというわけではないのです。
小川:地元の人だったり、新しくやってみたい人にどんどん入ってきてもらえたりとか。
高橋さん:裾野を広げるっていう側面もあるといいのかなと思います。ただ、類は友を呼ぶ方式として前に参加したことがある人が紹介をするっていうシステムにしてるんです。なかなか一般のレースのようにネットとかで参加を募集とかではなかなか難しい。あくまで自分自身で責任を全部持つ形でやってるので。
裾野を広げたいですけども仲間から地道に裾野を広げていく形でやってるので、それで広がっていき、最終的には遠いところまで広がっていければと思っています。
小川:今回は広報やネットに載るのでもしかしたら読んだ人が私出てみたいと思ったらどうすればよいですか?
高橋さん:まずは自分に一回連絡もらえればと思います。インスタグラムとかでもいいので。
ただ、なかなか今やってる大会の部門だと難しいと思う場合は、周回コースなので自由に1周だけ走りたいという参加でも歓迎します。
―走ることの楽しさー
小川:福島県だと福島駅伝が人気がありますよね。昨年の福島駅伝を見に行きましたが、沿道に集まる人の多さに驚きました。今駅伝チームが練習していると思いますが、ロードだけでなくて大名倉山で練習してもらえてもいいですね。
高橋さん:そうですね。そういうので広まってくれるといいですね。
小川:双方で面白さが違いますよね。駅伝だと沿道からの応援の方であったり、襷をつないでいく感動のシーンもあったりします。トレイルランニングは山の中で自分との戦いや会った時は会話をしながら走ったりと。
大玉村は田んぼを見ながら走るのも気持ちがいいですし、大名倉山や安達太良山で走る、双方を楽しめる環境がありますよね。
高橋さん:そうですね。大玉村は走って楽しい場所が多くて、それでトレイルランニングの魅力にのめり込みました。
ロードだけでなく、トレイルランニングという楽しいものがあるっていうのをもっと知ってもらいたいです。
まったく知らない人でもこの記事を読んでもらって、こういうスポーツというか遊びがあるんだなって、知ってもらえるだけでも嬉しいです。
小川:山を走るというのはあんまり想像できてなかったので実際に大会を見に行かせもらって楽しいものだと実感しました。
高橋さん:楽しいですね。10年ぐらい経っても飽きないです。
小川:少しでも興味を持った方は自分のできる範囲でトレイルランニングをしてみてほしいですね。
対談を終えて
第三回目はOONAGURA100の主催者である高橋さんと対談させていただきました。大玉村に元からある環境を使って、最大限の挑戦をし続けるそんな高橋さんのお話は刺激が大きかったです。
高橋さんをご紹介して頂いたのは大玉村役場職員の官野さんでした。今回のおおたまいどばた会議にお呼びして面白い移住してきた方はいないかと尋ねたところ、真っ先に名前が挙がったのが高橋さんでした。
高橋さんの主催しているOONAGURA100は噂程度にはお話を聞いたことはありましたが、どんなイベントで、どんな人たちやっているのかわからなかった、名倉山で100マイルを走るとはどういうことなのか想像もつきませんでした。なので、この機会にもっとOONAGURA100について知りたいと思い、高橋さんにお声かけさせていただきました。
実際対談をするにあたって、6月に開催されたOONAGURA100の第三回目を見に行き、どのような雰囲気なのか見に行きました。
行ってみて驚いたのは主催側も参加者側もすでに顔見知りといった感じで、アットホームな雰囲気が心地よかったです。
レースは周回コースで、帰ってくる選手がいると差し入れのアイスやさくらんぼを配る光景を見て、とても良い大会だと感じました。
OONAGURA100のきっかけの一つにはコロナがあったといいます。大会が制限されるとき、身近な環境でもできることを考え、OONAGURA100は生まれました。「身近な環境で最大限の挑戦を」とても良い言葉だと思います。
チャレンジはいつでも誰でもできることだと思います。きっかけはなんでもいいのです。身近な環境でも視点を変えてみるとそこにきっかけが転がっているかもしれません。
みなさんも周りを見渡して、昔やめてしまったものややってみたいなと思っていたこと、小さなチャレンジでもこの機会に始めてみてはどうでしょうか。そして、いまできる最大限の挑戦を挑んでみてください。
次回は大玉村でワインを作っている毛利さんと対談します。お楽しみにしていてください。
12月中旬頃更新予定です。
前回大会開催の様子を掲載されています。ここからチェック!
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